・妻は既に亡くなり、子が3人おります。
長女(45)・・・会社では経理を担当しております。
長男(35)・・・会社では取締役常務兼営業部長です。
次女(30)・・・他社に努めるOLです。
・弊社の会社概要
代表取締役社長・・・磯野一郎(私です)
取締役専務 ・・・福田益男(長女の夫)
取締役常務 ・・・磯野勝男(長男)
監査役 ・・・波野紀輔(甥です。名目上の監査役です)
港区内に自社ビルを一棟所有しており、そこで営業しております。
このような状況で事業承継を行う際、注意すべき点はあるでしょうか。
時期経営者(予定者)が決まったら、次に行うことは「財産の把握」です。どんな財産をどれだけ所有しているのか。負債も考慮に入れます。
その次に行うのが「誰に何を継がせるのか」の決定です。一般的には経営権を承継する人には同族会社の株式を、それ以外の人には金銭や土地建物などをという流れが多いと思います。ここでの注意点は受け継ぐ人たちの間で不公平感がないような形を考えることですね。
この時点で受け継ぐ際の税金の問題を考える必要があります。「事業承継」を計画だてて長いタームでじっくりと行うことは、節税にもつながります。
(回答者:税理士 渡辺尚人)
また、このケースの場合の事業承継の方法ですが、一般的な話としてご長男に継いで頂く予定だと解釈出来ますが宜しいですか?
この場合考えておかなければいけないのが、株をどのようにするかです。株主の構成がどのようになっているか記載されていませんが、一郎さんが全て持っている場合は、その株をどなたに贈与又は相続させるのかを決めておく必要があるでしょう。
もし、一郎さんに全て渡したいという場合は、相続時精算課税という方法を利用して贈与する方法もあります。もちろん、暦年課税(年間110万円まで免税)も活用し、数年かけて贈与させる方法もあるでしょう。
21年度の税制改正で中小企業の後継者(親族に限ります)がその会社の株を相続した場合、その株価について80%の評価減を利用出来、更に他の遺族から遺留分の請求を受けずに済むというものが予定されています。ただし、まだ詳細が決まっていません。
お子さんにそれぞれ株を渡す場合は、その株に違いを持たせる方法もあります。福田さんが専務にいらっしゃいますので、今後も一郎さんと協力して経営をして頂くのであれば、長女には議決権付きの株を渡しておく必要があるでしょう。逆に経営に口を出して欲しくない場合はこの議決権を無くす事も出来ます。
次女は他の会社にお勤めであり、今後も会社に来ないのであれば、この議決権なしの株にしておいて、その代り優先株と言う、配当や会社が解散した場合の残余財産を優先的に受け取る権利を持つ株にしておく方法もあります。その他、株には全部で9種類の株式がありますので、ご自分にあった株式にしておくと良いでしょう。
事業が多岐に渡る場合は会社を分割してそれぞれの子供達に引き継がせる方法もあります。その辺の詳細が不明ですので何とも言えませんが。その場合は、もちろん、会社分割の数、株主、代表者を検討する必要があります。
(回答者:税理士 岸田亜矢子)
以上、磯野さんの事業承継について簡単なご説明をしましたが、最後に大事なポイントを箇条書きにしておきます。
・次期経営者(予定者)はその資質がありますか?
→ちょっと不安な場合はこれから経営者としての教育を!
・次期経営者以外の人に意思表示をしていますか?
→いいづらいケースもありますが、次期経営者へのスムーズな移行に障害のないようにしておいてください。
・財産を確認していますか?
→みなさんに不満の種を残さないようにうまく分けることを考えましょう!
・承継計画を立てましたか?
→必要最小限の納税で済ませるためには計画的な承継が不可欠です。
事業の承継にはさまざまな方法と注意点が混在しています。実際に計画を立てて取り組む場合には専門家へのご相談をお勧めします。
コンパスでは法務・税務・労務の専門家がそれぞれの視点から相談者にマッチする事業承継のご提案をいたします。
(回答者:税理士 渡辺尚人)



