社会保険労務士の廣野です。
厚生労働省の発表(平成22年3月12日)によると、この3月の就職内定率は大卒80.0%、短大卒67.3%、高校卒81.1%で、前年を約6〜8ポイント下回るとのこと(大卒は平成22年2月1日現在、短大卒・高卒は1月末現在)、平成8年から実施している調査で過去最低となりました。人数で見てみると、大卒8万1千人、短大卒1万8千人、高卒3万人が内定しておらず、このままでは約13万人が就職できないことになります。景気回復の遅れが新卒採用に大きく影響しています。
景気が悪いと職業選択が堅実になる傾向があり、明治安田生命が今年春に入社予定の新入社員にアンケートをとったところ、会社選びで重視するのは「会社の安定性」で、過半数が「一生同じ会社に勤めたい」と考えているようです(ちなみに、毎日コミュニケーションズが発表した今年の大学生就職企業人気ランキングでは、文系1位がJTB、理系1位がソニー)。ここまでは私たち40代の現役世代も共感できますが、将来目指す役職では「役職には興味がない」と46.7%が回答しているのは、少々拍子抜けしてしまいます。要するに、大きな会社に就職して、定年まで大過なく勤めることが現代の若者の目標になってしまっているとすると、非常にもったいないと思うのは私だけでしょうか。
さて、話をもとに戻すと、内定をもらえなかった人の選択肢として、学生を続ける(留年、進学、留学、他の学校に入学)、とりあえず働く(契約社員、派遣社員、アルバイト)、何もしない(家事手伝い、ニート)の3通りが考えられますが、個人的には「とりあえず」でも働いていただきたい。それが正社員でなくても、例えば契約社員や派遣社員でも3年間同じ会社で働ければ、転職する場合に職歴(キャリア)として主張できます。少なくともビジネスマナーや言葉遣いは3年間で学べますし、担当した職務については面接官に実感を込めて伝えることができます。新卒以外の場合、「職歴がない」ことが採用を見送る理由に直結します。
一般的な印象からすると、新卒者が会社に採用されれば「終身雇用」と思われがちですが、入社3年以内に離職する大卒者の割合は36%、20代の転職経験者は過半数を超える(城繁幸『たった1%の賃下げが99%を幸せにする』東洋経済新報社・2009年)という実績があります。実はそれ以前から20代の若年層の転職は日本では常識であり、現実は30代から定年まで1つの会社にとどまるのが一般的な傾向だったようです(海老原嗣生『雇用の常識「本当に見えるウソ」』プレジデント社・2009年)。
「勝負は3年後、それまでにキャリア形成すべし。」
これが私の新卒者に贈る言葉です。是非、人生に前向きな気持ちを維持してください。
特定社会保険労務士 廣野 正通


