またまた選挙の時期がやってまいりました。
職業柄、税制に関する各党のマニフェストをピックアップしてみました。
[民主党]
法人税制は簡素化を前提に、国際競争力の維持・強化、対日投資促進の観点から見直しを実施します。あわせて、中小企業向けの法人税率の引き下げ(18%→11%)、連帯保証人制度、個人保証の廃止を含めた見直しを進めます。
[自民党]
法人税については、国際的整合性の確保及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベースの拡大とともに、法人税率を国際標準の20%台に思い切って減税します。なお、中小企業向けの法人税率については、さらに引き下げることを検討します。
企業の本社機能、工場、データセンターなどの地方への移転を後押しするため、雇用創出・投資規模等に応じて法人事業税の優遇を行います。この他、固定資産税(地方税)などの減免を行います。
エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)については、その普及が進んでいない現状を踏まえて抜本的強化が必要ですが、その際、町おこし・村おこしに向けて取り組む企業等も対象に加える等の検討を行い、使い勝手の良いものとします。
消費税については、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げに要する費用を賄うとともに、これからも増加が見込まれる年金、医療及び介護の社会保障給付と少子化対策の費用に全額を充てることを予算・決算において明確にした上で、経済成長戦略とムダ削減の不断の努力を行いつつ、消費税の税率を引き上げます。消費税率等については、(1)少子化対策や年金・医療・介護の機能強化に要する費用(基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げ分を含む)(7兆円)(2)高齢化の進展に伴う今後必要な社会保障費の自然増分(初年度1兆円)(3)現在、消費税以外で賄われている年金・医療・介護にかかる費用(7.3兆円)等を考慮し、当面10%とすることとし、政権復帰時点で国民の理解を得ながら決定するものとします。その際、食料品の複数税率等、低所得者への配慮も併せて検討します。 なお、抜本改革の検討に当たっては超党派による円卓会議等を設置し、国民的な合意形成を図ります。 個人所得課税については、格差の是正や所得再分配機能の回復の観点から、各種控除や税率構造を見直します。最高税率や給与所得控除の上限の調整等により高所得者の税負担を引き上げるとともに、歳出面も合わせた総合的取組みの中で子育て等に配慮して中低所得者世帯の負担の軽減を図ります。金融所得課税の一体化を更に推進します。 資産課税については、格差の固定化防止、老後扶養の社会化の進展への対処等の観点から、相続税の課税ベースや税率構造等を見直し、負担の適正化を図ります。 自動車関係諸税については、税制の簡素化を図るとともに、厳しい財政事情、環境に与える影響等を踏まえつつ、税制のあり方及び暫定税率を含む税率のあり方を総合的に見直し、その負担を軽減する方向で検討します。 地方税制については、地方分権を推進するとともに、税収が景気変動による影響を受けにくく安定的で、かつ、税源の偏在性が小さい仕組みとするため、消費税を含む税制抜本改革の一環として、地方消費税の充実を検討するとともに、地方法人2税のあり方を見直すこととし、もって、国と地方を通じた社会保障制度の安定的な財源の確保を目指します。 たばこ税については、たばこと健康に関するあらゆる総合的な検討、葉たばこ農家、たばこ小売店等への影響も勘案した十分な検討が必要であり、中途半端な議論のままで引き上げを行うことは適当ではありません。 酒税のあり方については、税制の中立性・公平性・国際性の観点や財政状況等を踏まえ、酒類間の税率格差を縮小する方向で検討します。 低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化を推進します。 環境税については、税制全体のグリーン化を図る観点から、様々な政策的手法全体の中での位置づけ、課税の効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、既存の税制との関係等に考慮を払いながら、納税者の理解と協力を得つつ、総合的に検討します。 納税者番号制度の導入の準備を含め、納税者の利便の向上と課税の適正化を図ります。[公明党]
(1) 税制全般の一体的改革
税制の抜本改革にあたっては、所得課税、法人課税、消費課税、資産課税等を含め税制全般について一体的に改革します。
(2) 格差の是正、所得再分配機能の強化
格差の是正や所得再分配機能の強化を図るため、所得税の最高税率の引き上げや相続税の見直しを行います。
(3) 給付付き税額控除制度の導入
生活支援や子育て教育支援等の観点から、いわゆる「給付付き税額控除制度」を導入します。
(4) 消費税の社会保障目的税化
消費税収の使途は、年金、医療、介護の社会保障給付および子育て支援のための費用に限定します。消費税率の見直しに際しては、給付付き税額控除制度や複数税率など、低所得者への配慮措置を講じます。
(5) 税制のグリーン化、自動車関係諸税の見直し
低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化を推進します。また、自動車関係諸税は、取得、保有、走行各段階における複数の課税について、簡素化を図る観点から見直します。特に、自動車重量税など取得、保有にかかる税目は、簡素化の上、暫定税率分は縮減します。
(6) NPO支援
地域のコミュニティーや福祉を支えるNPOなどの非営利セクターに対する支援税制を抜本的に強化します。
(7) 法人税率の引下げ
経済成長の実現に向け、企業・法人の国際的な競争力の強化を図る観点から、租税特別措置の見直し・縮小など課税ベースの拡大に併せ法人税率を引き下げます。
(8) 地方の税財源の充実
自立した基礎自治体の構築のため、課税自主権を拡大し、地方交付税等の財政調整機能に配慮しながら交付税の確保、補助金の縮小、税源配分の見直しを一体的に検討し、国と地方の税源比率を1対1とすることをめざします。その際、地方消費税の充実を図ります。
[共産党]
現在10%の証券優遇税制をただちにあらため、まず20%に戻し、さらに諸外国なみに富裕層は30%以上に引き上げます。下げすぎた所得税・相続税の最高税率を元に戻します。大企業への研究開発減税など優遇税制をあらためるとともに、下げすぎた大企業にたいする法人税率を段階的に元に戻します。
消費税増税に反対し、免税点の引き上げを行います。家族従事者に支払った賃金を必要経費として認めない所得税法56 条の廃止、法人税の累進制の強化、中小企業の事業承継に関連した相続税の減免、商店街・町工場の固定資産税負担の軽減措置などをすすめます。先進国では当たり前の「納税者憲章」を制定し、納税者の権利をまもります。生存権的財産の差押はやめ、分納を認めます。
[社民党]
総合課税主義、国民合意、公正と公平、自治税制の強化と地方財政確立、財源調達機能の強化、福祉社会への再分配など基本的な考え方に立って、グローバル化の中での不公平税制の是正及び税の調達機能や所得再分配機能を再生します。応能負担原則による累進性の強化に取り組み、フラット化や高所得者優遇税制の転換、格差の是正をはかります。
所得税
○所得税は、基幹税として、資産課税とあわせて再構築します。
○低所得者、子育て世帯に対する給付つき税額控除制度(所得税の減額と給付金の支給を組み合わせて生活を支援するしくみ)を検討します。導入の際は、所得税の応能負担や累進性、再分配機能、最低生活費免税の重要性を踏まえ、各種控除の統合・廃止による負担増は避け、所得向上と内需拡大につなげます。
○高額所得者層の最高税率を50%に戻し、税率きざみの段階を拡大など累進性の強化により、再分配機能や財源調達機能を回復します。最低生活費を大きく下回る基礎控除は、現行38万円から76万円に倍増します。
○廃止された老年者控除(65歳以上所得1000万円以下、所得税50万円・住民税48万円を控除)や縮小された公的年金等控除(最低保障額120万円)を140万円に戻すなど公的年金税制を見直し、年金生活者の負担を軽減します。
○格差拡大や金持ち優遇税制を是正するため、証券税制での株式の配当・譲渡益にかかわる税率の優遇措置(税率10%)は即廃止(2011年に廃止予定)し、本則20%に戻します。短期取引や高額の配当・譲渡益に対しては累進性などで課税を強化します。
○金融所得一体課税については、資産家優遇、租税回避、少額投資の非課税措置などの課税ベース縮小や複雑化はやめ、総合課税をめざします。二元的所得税化の場合は、資本所得は法人税と同様に30%とします。
○財形住宅貯蓄非課税制度の限度額(550万円)の拡大、生命保険料控除額を拡大します。
法人税
○法人税については、まず減収要因となっている租税特別措置の縮小をはじめ、欠損金の繰越制度(7年間)の期間短縮、減価償却制度や連結納税制度の見直し、国際課税の強化など課税ベースを広げます。基本税率は、今後の環境税の導入や社会保険料負担も勘案しつつ検討します。また、法人の課税所得に応じた累進税率の導入を検討します。
○OECDも指摘しているように、税収減少につながる国際的な法人課税の引き下げ競争をやめるよう求めます。
○NPO法人への寄付金の税額控除の導入など寄付金税制を拡充するととともに、公益法人税制を見直します。
消費税
○消費税の増税は、低所得者層や中小企業への負担増、逆進性の拡大、個人消費の縮小に伴う景気悪化と財政赤字の拡大につながるものであり、厳しい国民生活の現状から消費税率の引き上げはしません。
○消費税の逆進性緩和策として、「飲食料品にかかわる消費税額戻し金制度」(収入400万円以下の世帯は4万円、400万円超1000万円以下の世帯は2万円を年1回支給)もしくは所得税からの消費税額控除・還付制度を導入し、生きていくための飲食料にかかわる消費税負担をゼロないし大幅に軽減します。
○地方消費税の税率を拡大します。益税を解消するインボイス方式を導入、輸出免税など公正・公平の観点から見直します。
相続税など
○資産課税(相続税、贈与税)の最高税率(現在50%)を70%に引き上げるととともに、基礎控除の引き下げなど課税ベースを広げ、富の社会への還元と所得再分配を強化します。
○不合理な連帯納付制度を見直し、遺産取得課税方式への移行を検討します。
租税特別措置の透明化、縮減
○実態が不透明な租税特別措置(国分310項目、減収見込みは約5兆円)については、毎年の適用実績・件数、減収見込額を早期に示すとともに、公平性、合理性、有効性、相当性の観点から厳しく追及し、縮小・廃止をめざします。
○租特透明化法による実態調査をすすめ、租特の恩恵を受けている企業名を公表します。
暫定税率の廃止、環境税(炭素税)の早期導入
○温暖化をすすめるCO2の排出など環境負荷を減らし、持続可能な社会に向けて、排出量に比例して課税する環境税(炭素税)を導入、既存エネルギー諸税のグリーン化に取り組みます。環境省が昨年示した地球温暖化対策税案(税率:原油・石油・石炭は3900〜4300円/炭素トン、ガソリン27380円/炭素トン、税収額約2兆円、一般財源化など)をもとに、制度を具体化し、導入を急ぎます。
○ガソリン税の暫定税率は廃止し、自動車の社会的費用や温暖化対策など環境面から抜本的に見直します。消費税との二重課税や複雑な自動車諸税の整理・見直しをすすめていきます。あわせて自治体財政運営に支障が生じないよう国の責任で補てんします。
○環境保全に役立つ自然エネルギーの促進、省エネは課税を軽減し、歳出を増やします。石油や原発に偏ったエネルギー対策特会(総額8900億円)、電源開発促進勘定(3700億円)を自然エネルギーの促進に活用します。
国際課税
○不透明なヘッジファンドやタックスヘイブンなどの動向や実態など調査・監視を強めるとともに、国際課税の申告漏れ所得(6300億円・07年)を把握し、租税回避防止対策を強化します。
○移転価格税制については、取引内容の正確な把握と税の賦課・徴収システムを確保し、国際取引に対する課税を強化します。
納税環境の整備、公平番号の導入
○総合課税の実現や給付つき税額控除の導入に向けて、的確な所得把握のための「公平番号制度」を導入します。導入に当たっては、国民に対して制度の意義や行政コストについて十分な説明を行い、理解を求めるとともに、個人情報保護制度を構築、本人による情報アクセスと情報訂正請求を認め、税務目的外使用は禁止します。
○税制の歳入と歳出、税制改正に関する情報公開をすすめるとともに、納税者の権利を確立する「納税者権利憲章」を制定します。国税通則法は、税務行政は納税者の権利利益を保護し公正で透明なものとすること、情報の公開、プライバシーの尊重などを盛り込み、国税納税者の立場から改正します。自主申告制度(年末調整は被雇用者本人が行うなど)を追求します。
○「適正・公平な課税の実現と歳入の確保」のために国税職員の定員確保と処遇改善をすすめ、経済取引の国際化等に対応するための機構を充実し、低下している実調率(5%、追徴税額約3300億円)を高めます。
○農業や中小企業分野における居住用や事業用、農業用などの土地・家屋にはその態様や生業権の面から、農業や事業経営の継承や農村環境を維持できるよう負担を軽減します。
○省庁縦割り、予算の囲い込みを是正します。米軍への思いやり予算廃止や不要不急の公共事業費の削減など、無駄遣いをなくします。
いかがでしょうか。国家の財政状況が厳しい今日、政党により身近な税金が今後大きく変わろうとしています。参考にして7月11日には、ぜひ投票して下さい。
(今回は改選議席がある政党のみ記載させていただきました。)
税理士 菅原靖 http://total-partner.tkcnf.com/


