事業承継とは何ですか?

q.gifコンパスの皆さん、はじめまして。私は、港区にて健康食品を販売している会社を経営している磯野と申します。最近、「事業承継」という言葉を聞いております。自分も現在65歳であり、そろそろ子供たちに会社の事業を継がせたいと考えるようになっております。

大雑把な質問で大変恐縮なのですが、いわゆる「事業承継」というものはどんなものなのでしょうか?


a.gif事業承継とは、その名の通り、『事業を受継ぐ、又は受継がせる事』ですが、その方法は色々あります。

また中小同族会社の事業承継に限って言えば、経営を受け継ぐ「経営権」と財産を受け継ぐ「財産権」とがあり、誰に何を承継させるのかの決定が非常に厄介であるといわれています。

経営権に限った部分での事業承継にはおおまかに次のパターンがあります。

1.子供達に継がせる
ただし、子供が数名居る場合は、どの子供に継がせるかを決める必要がありますね。

2.他人に継がせる
少ないケースですが、少子化の今後はこれも進んでくると思います。

3.会社を売却する
この場合はM&Aになりますが、事業を継続させるという点では承継ですね。

(回答者:税理士 岸田亜矢子、税理士 渡辺尚人)


一口に「事業承継」といっても、法律的にみると贈与や相続、株式譲渡や会社分割等の法律行為の組み合わせとなります。各法律行為の場面に従って税金の問題が発生したり、法律問題が発生することがあるので、専門的な知識・理解が必要となる場合があるのです。
(回答者:弁護士 高島 誠)


事業承継を行う必要性は?

q.gifそれでは、事業承継を行う必要性というものはどのあたりにあるのでしょうか?


a.gif事業承継を進める必要性の一番は、ご自分のクライアントに対する責任ではないでしょうか。また、債権者への支払が事業を継続せずに完了出来るかどうかも検討してみなくてはいけません。後は、ご自分やお子さん達の生活が事業を継続させなくても成り立つのかがポイントですね。

(回答者:税理士 岸田亜矢子、税理士 渡辺尚人)

事業承継を行う際の注意点は?

q.gif現在私の身辺と弊社の状況ですが、

・妻は既に亡くなり、子が3人おります。
長女(45)・・・会社では経理を担当しております。
長男(35)・・・会社では取締役常務兼営業部長です。
次女(30)・・・他社に努めるOLです。

・弊社の会社概要
代表取締役社長・・・磯野一郎(私です)
取締役専務   ・・・福田益男(長女の夫)
取締役常務   ・・・磯野勝男(長男)
監査役      ・・・波野紀輔(甥です。名目上の監査役です)

港区内に自社ビルを一棟所有しており、そこで営業しております。

このような状況で事業承継を行う際、注意すべき点はあるでしょうか。


a.gifまず、会社の経営をまかせる人はもう決定済みですか?それを誰にするかによって経営権以外の財産を誰に承継させるかが変わってきます。また、次期経営者がスムーズに経営を引き継げるように周りの環境を整えてあげなければいけません。

時期経営者(予定者)が決まったら、次に行うことは「財産の把握」です。どんな財産をどれだけ所有しているのか。負債も考慮に入れます。

その次に行うのが「誰に何を継がせるのか」の決定です。一般的には経営権を承継する人には同族会社の株式を、それ以外の人には金銭や土地建物などをという流れが多いと思います。ここでの注意点は受け継ぐ人たちの間で不公平感がないような形を考えることですね。

この時点で受け継ぐ際の税金の問題を考える必要があります。「事業承継」を計画だてて長いタームでじっくりと行うことは、節税にもつながります。

(回答者:税理士 渡辺尚人)


また、このケースの場合の事業承継の方法ですが、一般的な話としてご長男に継いで頂く予定だと解釈出来ますが宜しいですか?

この場合考えておかなければいけないのが、株をどのようにするかです。株主の構成がどのようになっているか記載されていませんが、一郎さんが全て持っている場合は、その株をどなたに贈与又は相続させるのかを決めておく必要があるでしょう。

もし、一郎さんに全て渡したいという場合は、相続時精算課税という方法を利用して贈与する方法もあります。もちろん、暦年課税(年間110万円まで免税)も活用し、数年かけて贈与させる方法もあるでしょう。

21年度の税制改正で中小企業の後継者(親族に限ります)がその会社の株を相続した場合、その株価について80%の評価減を利用出来、更に他の遺族から遺留分の請求を受けずに済むというものが予定されています。ただし、まだ詳細が決まっていません。

お子さんにそれぞれ株を渡す場合は、その株に違いを持たせる方法もあります。福田さんが専務にいらっしゃいますので、今後も一郎さんと協力して経営をして頂くのであれば、長女には議決権付きの株を渡しておく必要があるでしょう。逆に経営に口を出して欲しくない場合はこの議決権を無くす事も出来ます。

次女は他の会社にお勤めであり、今後も会社に来ないのであれば、この議決権なしの株にしておいて、その代り優先株と言う、配当や会社が解散した場合の残余財産を優先的に受け取る権利を持つ株にしておく方法もあります。その他、株には全部で9種類の株式がありますので、ご自分にあった株式にしておくと良いでしょう。

事業が多岐に渡る場合は会社を分割してそれぞれの子供達に引き継がせる方法もあります。その辺の詳細が不明ですので何とも言えませんが。その場合は、もちろん、会社分割の数、株主、代表者を検討する必要があります。

(回答者:税理士 岸田亜矢子)


以上、磯野さんの事業承継について簡単なご説明をしましたが、最後に大事なポイントを箇条書きにしておきます。

・次期経営者(予定者)はその資質がありますか?
  →ちょっと不安な場合はこれから経営者としての教育を!

・次期経営者以外の人に意思表示をしていますか?
  →いいづらいケースもありますが、次期経営者へのスムーズな移行に障害のないようにしておいてください。

・財産を確認していますか?
  →みなさんに不満の種を残さないようにうまく分けることを考えましょう!

・承継計画を立てましたか?
  →必要最小限の納税で済ませるためには計画的な承継が不可欠です。

事業の承継にはさまざまな方法と注意点が混在しています。実際に計画を立てて取り組む場合には専門家へのご相談をお勧めします。

コンパスでは法務・税務・労務の専門家がそれぞれの視点から相談者にマッチする事業承継のご提案をいたします。

(回答者:税理士 渡辺尚人)