皆さん、こんにちは。弁護士の高島です。
少し前の案件ですが、私の関与した訴訟事件の判決が判例集(判例タイムズ1289号227頁)に掲載されましたので、紹介致します。
事案は、難病であるパーキンソン氏病に罹患した高齢者(Aさん)の行った公正証書遺言の有効性について争われた事案です。
Aさんは病気の為に筋肉が固縮し、遺言書作成時には口がきけない状態となっていました(耳は聞こえる)ので9年間に渡ってAさんの介助を担当したヘルパーさんを通訳人として、ヘルパーさんの質問に対して回答する方式で公証人が遺言書を作成しました。
Aさんの意思表示方法としては、肯定的な返事の際には腕・足を動かしたりまぶたを開閉する、額的な返事の際には口をつぐんで目を逸らし、沈黙するというもので、ヘルパーさんがAさんの意思表示を公証人に伝達するというものでした。
訴訟では@ヘルパーさんが通訳の専門家ではなく、民法969条の2に定める「通訳人の通訳」に該当しないのではないかA実際にAさんの意思表示として正確性を欠くのではないか等が争われました。
判決では、@「通訳人」は手話通訳人に限られるものでもなく、本人の意思を確実に他者に伝達する能力を有するものであれば、広くこれに当たるAヘルパーさんの通訳方法は経験則に裏打ちされた妥当なものであって正確性を認めることができるとして、原告の請求を棄却しました。
民法969条の2第1項(口がきけない者の遺言の方式)の解釈に関する判示として先例の無い判決ですので、ご紹介しました。
そもそも、後の紛争を避けるために、公正証書遺言を行っているにもかかわらず、遺言の無効が争われた珍しい事案です。私としても、勝訴して判例集に掲載されたので、思い出に残る事件ですね。



